2010年09月24日
二十一世紀の打ち方

『呉清源 二十一世紀の打ち方』(NHK出版)より
・碁は全局の調和です。 一手一手がよく釣り合いを保ち、全局面と調和するように工夫することです。
例えば、建築でいいますと、玄関だけが見栄がよくても居間が悪くては困ります。 居間がよくても台所がオンボロでは奥さんが怒るでしょう。家の造りも一局の碁も全体の調和があってこそ、立派だといえましょう。
・私の好きな言葉に、「六合(りくごう)」 というのがあります。古代中国の言葉です が、「天地と四方(東西南北と上下)」を指す意味です。碁の一石一石は、すべからく 六合に、つまりあらゆる方面と調和し、ピタリとその場に適合するのが望ましい。
碁盤は平面ですから四方だけで十分ではないか、とも考えられますが、石には厚みがあ り、重みもありますから、眼光紙背に徹して、やはり六合がよろしいでしょう。
・数千年の昔から碁があり、二一世紀はもちろんのこと三〇世紀も四〇世紀も、多分、 囲碁は存在し続けるでしょう。